2020年9月のコラムでは「収益不動産を見分けるための4つのポイント」をご紹介しました。
今回は、4つのポイントのうち、重要な「築年数」について、詳しくご説明いたします。
目次
〈おさらい〉収益物件を選ぶ際に最低限チェックしておくべき4点
①利回り
→「物件の購入金額に対して、年間の家賃が何%の利益を出しているのか」を示す利回りもチェックする必要があります。高ければ高いほど「良い」でしょう。ただし、不動産市場には相場がありますので「利回りが高すぎる」物件には注意が必要です。
②立地
→収益不動産にとって入居需要はとても重要です。なぜなら、住居・店舗・事務所・倉庫・駐車場・借地どれを取っても、入居者(契約者)に物件を貸さないと収益が得られないからです。いくら満室想定利回りが高くても、入居率0%ならその物件の収入は0円になってしまいます。収入ゼロでも固定資産税などの経費は必要なため、実質はマイナスとなります。
その入居需要と深く関係しているのが「立地」です。日本はこれから人口が減少していくといわれています。
現在、日本の人口は1億2593万人(2020年8月20日 総務省統計局公表 2020年8月概算値)ですが、28年後の2048年には1億人を下回ると推計されています。(内閣府HPより)また、国土交通省や地方自治体によるコンパクトシティを目指す政策も進んでおり、今後立地の重要性は増していくでしょう。
③積算価格
→積算価格とは土地と建物の現在の価値をそれぞれ算出し、合計した価格のことです。積算価格のことを「原価法による査定額」ということもあります。
「金融機関の融資」「出口戦略」に影響するため、積算価格は高いほうが良いです。
④構造・築年数
→物件の構造は大きく分けて①木造②軽量鉄骨造③重量鉄骨造④鉄筋コンクリート造に分けられます。構造ごとに財務省が「法定耐用年数」を定めています。「耐用年数=実際に使用に耐える年数」ではありませんが税務上分かりやすくするために決められています。法定耐用年数は金融機関が融資の返済年数の基準としています。
収益物件の築年数にはメリット・デメリットがあり、ご自身の目的に合った物件を探すことが重要になります。築年数帯別のメリット・デメリット、築年数帯ごとに向いている目的(「相続税対策や所得税等の節税対策をしたい」、「長期間にわたって安定した家賃収入を得たい」等)をご説明いたします。
収益物件は主に築年数①10年未満②10年以上30年未満③30年以上の3つに大別できます。
①築年数10年未満
中古収益物件市場の中で最も人気が高いです。
理由は4つ。
1つ目は新築に比べて価格が安くなることです。
新築物件ではなくなった時点から、建物の価格は下落していきます。
そのため、新築の収益物件に比べ、安い金額で築年数の浅い収益物件を購入できるという点があります。
2つ目は大規模修繕の必要がない点です。
3つ目は法定耐用年数が長く残っているため、長期間にわたって減価償却による節税効果が期待できる点です。
4つ目は資産価値が高く評価されるため、有利な条件で金融機関から不動産投資用の融資を受けることが可能な点です。
しかしデメリットもあります。
1つ目は中古の収益物件の中では比較的価格が高くなることです。
2つ目は高い利回りが期待できないことです。
3つ目は売りに出す際は、購入した金額を大きく下回る可能性があることです。
◎築年数10年未満の物件は相続税対策や所得税・住民税の節税を行いたい人に向いているでしょう。
②築年数10年以上30年未満
メリットは3つ。
1つ目は築後20年くらいで価格下落がゆるやかになる点です。
そのため、家賃の下落幅も小さくなり、安定した家賃収入が期待できるでしょう。
2つ目は、価格下落がゆるやかになることにより、購入した時と大きな差がなく売却が期待できます。
3つ目はRC造(鉄筋コンクリート造)の場合は、法定耐用年数が比較的長く残っているため、築年数10年未満の物件ほどではないですが、減価償却による節税効果が期待できます。
しかし、デメリットはあります。
1つ目は大規模修繕が必要な時期であることです。
2つ目は物件によって(手入れによって)建物の劣化の程度の差が出てくることです。
◎長期間にわたって安定した家賃収入を得たい人に向いているでしょう。
③築年数30年以上
メリットは建物自体の資産価値が低くなっているため、物件自体の価格が安く、固定資産税が安いという点です。
デメリットは3点。
1つ目は設備の老朽化が目立ち、大規模修繕や、場合によっては入居者(テナント)のニーズに合わせてリフォームやリノベーションが必要になることです。
2つ目は建物の資産価値が低くなっているため、不動産投資用ローンを良い条件で借り入れることが難しく、短期間で返済する必要あるため、自己資金を築浅の物件より多く入れる必要があることです。
3つ目は昭和56年以前の建物の場合、新耐震基準を満たしていない可能性があることです。
◎建物の大規模修繕を行うことによって、安定した収入を得ることが可能でしょう。
まとめ
ここまで述べてきたように、築年数によってメリット・デメリットは違います。
不動産投資の目的に応じて検討することが重要です。
築10年未満
相続税対策や所得税・住民税の節税を行いたい人に向いているでしょう。
相続税対策について
相続税対策の場合、不動産の評価額は実際の売買価格より低く評価されることが多いため、現金に課せられる相続税より不動産に課せれる相続税の方が安くなることが多いです。
所得税・住民税の節税について
法定対応年数が長く残っているため、減価償却費を経費として計上して節税を期待できます。
築10年以上30年未満
この年数帯は物件価格の下落がゆるやかになるため、入居者の入れ替わりによる家賃の大幅な下落の心配は低いため、長期間にわたって安定した家賃収入を得たい人に向いています。
ただし、この年数帯は大規模修繕の必要が出てくるので、そのための自己資金を準備しておく必要があります。
築30年以上
間取りや設備が古いため、入居者(テナント)が集まりにくくなっています。
しかし、この年数帯は、立地が良い場所にあることが多いので、建物の大規模修繕を行うことによって、安定した収入を得ることが可能です。
そのためには初期の段階で大規模修繕を行うための費用を検討しておきましょう。
さいごに
築年数帯の特徴を捉えてご自分の目的にあった最適な不動産投資を選ぶことが重要です。
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