昨今、多くの収益不動産が売りに出ています。例えば大手収益不動産ポータルサイト「楽待」には70,359件(2020年9月7日現在)もの物件が売物件として掲載されています。7万件…途方もない数です。
そんな中から「良い収益不動産」を選ぶことはとても大変なことです。
そもそも良い収益不動産とは何でしょうか。この「良い」には様々な意味が含まれています。なぜなら「購入する目的」や「将来のビジョン」「購入するための資金力」が皆それぞれ違うからです。
- 【例】
- 「預金しておいても利息がつかないなら、利回りの高い収益物件が欲しい」
- 「今ある資金を活かして、複数棟物件を購入していきたい」
- 「相続税対策としてリスクの少ない物件を購入したい」
- 「減価償却による節税対策で物件を購入したい」
ですので、それぞれの目的やビジョン、状況に合った物件を探していく必要があります。
そこで、重要となってくるのが次の4つのポイントです。
ポイント①:利回り
利回りとは物件価格に対する家賃収入の割合です。高ければ高いほど「良い」とされています。ただし、不動産市場には相場がありますので「利回りが高すぎる」物件には注意が必要です。
まず、収益不動産を探す上で絶対に押さえていただきたい点は、主要ポータルサイトや物件資料(マイソク)に記載がある利回りは「満室想定利回り」であることです。
「満室想定利回り」とは、家賃収入を物件価格で割った数値で、管理費、固定資産税などの経費や、入居率を反映しておりません。
極端な例を挙げると、10戸中1戸しか入居しておらず「現況利回り2%」の物件が「利回り15%」と記載されていたり、家賃収入100万円に対し、経費が50万円必要で「実質利回り5%」の物件が「利回り10%」と記載されていたりします。
「高い利回り」にとらわれずに「入居需要がある物件かどうか」「経費を差し引いた実質利回りは何%か」また「再建築不可などの問題がないか」などを確認する必要があります。
ポイント②:立地
収益不動産にとって入居需要はとても重要です。なぜなら、住居・店舗・事務所・倉庫・駐車場・借地どれを取っても、入居者(契約者)に物件を貸さないと収益が得られないからです。
いくら満室想定利回りが高くても、入居率0%ならその物件の収入は0円です。収入ゼロでも固定資産税などの経費は必要なため、実質はマイナスとなります。
その入居需要と深く関係しているのが「立地」です。
日本はこれから人口が減少していくといわれています。
現在、日本の人口は1億2593万人(2020年8月20日 総務省統計局公表 2020年8月概算値)ですが、28年後の2048年には1億人を下回ると推計されています。(内閣府HPより)
また、国土交通省や地方自治体によるコンパクトシティを目指す政策も進んでおり、今後立地の重要性は増していくと考えられます。
□コンパクトシティとは
市街地の規模(スケール)を小さく保ち、自転車や徒歩で行ける範囲を生活圏と捉え、住みやすく、コミュニティ形成がしやすいまちづくりを目指そうという考え方です。現在、多くの地方自治体にて都市機能誘導区域、居住誘導区域が設定され、長期的ではありますが、居住の集約化が図られています。
ポイント③:構造・築年数
基本的には築年数は新しいほうが良いといわれています。なぜなら、金融機関の融資を利用した際の返済年数を長くすることができ、キャッシュフロー(実際の手残り額)が大きくできるからです。
□法定耐用年数と融資の返済年数、キャッシュフローの関連性
物件の構造ごとに財務省が「法定耐用年数」を定めています。「耐用年数=実際に使用に耐える年数」ではありませんが税務上分かりやすくするために決められています。
【法定耐用年数】
軽量鉄骨造:19年 ※鉄骨の厚みに依って変わります。
木 造:22年
重量鉄骨造:34年
鉄筋コンクリート造:47年
金融機関は「法定耐用年数」を融資の返済年数の基準としており、
「返済年数(最大)=法定耐用年数-築年数」
となることが多いです。(※一部例外もございます。)
【例】
・木造 築10年の場合 法定耐用年数22年-築年数10年=耐用年数12年
・鉄筋コンクリート造 築20年の場合 法定耐用年数47年-築年数10年=耐用年数27年
この返済年数は月々の返済額、およびキャッシュフロー(実際の手残り額)に大きな影響を与えます。
【例:家賃収入100万円/融資額10,000万円/金利1.5%/元利均等の場合】
□返済年数30年の場合
・月々返済額:約37万円 月々キャッシュフロー:約63万円
□返済年数15年の場合
・月々返済額:約64万円 月々キャッシュフロー:約36万円
したがって金融機関の融資を利用するレバレッジ効果を多く活用するためには、返済年数は長いほうが良く、そうなると築年数は浅めの物件の方が良いといえます。
また、築年数が経過してくると外壁塗装や屋上防水などの大規模修繕工事が必要になることも憂慮することが必要となります。
□レバレッジ効果とは
レバレッジ効果は「てこの原理」のことで、融資を利用することで少ない自己資金で多くのリターンを得ることができることを指します。融資を利用することで、自己資金1,000万円を投じて、10,000万円の物件を購入し、年間200万円のキャッシュフローを得ることが可能です。実際に10,000万円投じていないにも関わらず、大きな投資をすることができ、大きなリターンを得ることができるのです。
□減価償却による節税目的について
減価償却費という「実際にはかかっていない経費」を計上できることも、収益不動産のメリットの一つです。この減価償却費を考えた際は、築年数が新しいほうが良いとは限りません。減価償却による節税を目的として物件を探している際は、築年数の新しさよりも減価償却費の大きさに着目する必要があります。
ポイント④:積算価格
積算価格とは土地と建物の現在の価値をそれぞれ算出し、合計した価格のことです。積算価格のことを「原価法による査定額」ということもあります。
「金融機関の融資」「出口戦略」に影響するため、積算価格は高いほうが良いです。
収益不動産は一般的に利回りから価格を算出する「収益還元法による査定額」を目安に物件価格が決められていることが多いです。そのため、物件価格=積算価格とはならず、物件価格より積算価格が低いことも良く見受けられます。
しかし、金融機関は物件の評価をする際、「収益還元法による査定額」だけではなく「積算価格」を重要視します。
例えば「物件価格10,000万円/利回り10%/立地良し/築浅」の物件があったとしても、積算価格が4,000万円の場合、融資が4,000万円しか受けられず、自己資金が6,000万円必要になることもあり得ます。(※収益率を重要視する金融機関もあります。)
また、「積算価格が高い≒金融機関の融資が受けやすい」となるため、数年間保有した後に売却する場合、新たな購入者も融資を利用して購入しやすくなり、購入希望者の間口が広がります。
土地の積算評価が高ければ、土地として売却することもできます。
積算価格が高いことのデメリットは、固定資産税評価額も高くなるため、税金(固定資産税・不動産取得税・登録免許税など)が高額となることが挙げられます。
まとめ
この4つのポイント全てにおいて優れていれば文句の付け所のない「良い収益不動産」だと言えるのですが、そんな物件はまずありません。
「立地が良ければ、利回りが低くなる」「築年数が古ければ、利回りが高くなる」など、それぞれが相互関係をもっており、何かが優れていれば何かが劣る傾向にあるからです。
そこで「収益不動産を購入する目的」や、「将来のビジョン」、「購入するための資金力」に合わせて、どのポイントを優先していくのかを考え、バランスを見ながら探していくことをおすすめします。
【例】
「預金しておいても利息がつかないなら、利回りの高い収益物件が欲しい」
→現金(預金)を利用して購入でき、収益性を重視。
ポイント①:利回り、ポイント②:立地を優先する。
「今ある資金を活かして、複数棟物件を購入していきたい」
→複数棟物件を購入するためには、金融機関での融資が不可欠です。
ポイント③:構造・築年数、ポイント④:積算価格を優先する。
「相続税対策としてリスクの少ない物件を購入したい」
→入居需要が高く、修繕リスクの少ない物件が適しています。
ポイント②:立地、ポイント③:構造・築年数を優先する。
「減価償却による節税対策で物件を購入したい」
→減価償却費が重要となってきます。
ポイント③:構造・築年数※耐用年数が短い、
ポイント④:積算価格※建物価格が高いを優先する。
不動産は一つとして同じものがなく、膨大な物件の中から「良い収益不動産」を探していくことはとても大変ですが、物件数が多いということはそれだけ可能性があるとも考えられます。
当社では、経営理念であるまっすぐに「ひと」向き合い ワクワクする「まち」をつくるに基づきお客様のご要望をしっかりとお伺いして、より良い提案ができるよう日々邁進しています。
収益不動産をお探しの際は、些細なことでも構いませんので、㈱クルーズコーポレーションまでお気軽にお問い合わせください。